理事(役員)への報酬支払い

区分所有者のほとんどは自分の仕事を持っているため、空いた時間を利用して組合活動をすることになります。貴重な休みや時間を割かれるため、マンション管理はしっかりしなければならないという意識はあるものの、どうしても自ら率先して尽力することは避けようと思ってしまいます。『理事(役員)のなり手不足』問題です。
そこでインセンティブとして理事へ報酬を支払うことを検討する管理組合も増えてきているようです。調査では、『報酬を支払っていない』が75.9%と大半を占めていますが、『理事全員に報酬を支払っている』が17.7%と、築年数が新しいマンションほど割合が高い傾向にあります。
※国土交通省『平成20年度マンション総合調査結果について』より

また、標準管理規約でも「役員は、別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費の支払いと報酬を受けることができる。」と定められており、決して不適当な考え方ではありません。

それでも大半の管理組合が導入していない理由と、理事への報酬支払いの問題点について考えてみましょう。

報酬金額の妥当性

理事の仕事は、確かに骨が折れるものではありますが、その骨折りに対する金額はいくらかというのは、非常に難しい問題です。
管理組合の理事の仕事は結局のところ、自分の持っている資産価値保全のためのものですから、労力(時間)をそのまま金額に置き換えるのはなじまないと思えるからです。

そこで実際に支払われている金額をみてみましょう。調査では、理事に一律支払っているケースでは月額3,600円、一律でない場合の月額は、理事長が9,300円、理事が5,500円、監事が4,900円でした。
※国土交通省『平成20年度マンション総合調査結果について』より

報酬に見合った仕事内容が求められる

報酬が支払われるようになると、理事になった人はその金額に見合った分だけの仕事をすることが求められるようになります。
これは、ある意味で当然なことであり、良い点としては、理事の仕事ぶりについて他の組合員からの注文や要求が厳しくなりますし、理事本人も案件を先送りしてお茶を濁していられません。組合活動の質が高まる可能性があります。
問題となってくる点は、そうした厳しさに役員が耐えられなくなるといったことがあります。かなり難しい問題に直面した管理組合の理事会が、何回かの理事会を重ねながら結論を出し切れないままであった場合、いったい理事会は報酬ばかりもらいながら、何をやっているんだという批判にさらされるという可能性もあるのです。

報酬支払いを検討した方が良いケースとは?

まず、小規模マンションで理事を輪番制で選出しているケースでは意味がないでしょう。数年に1回は均等に回ってくるので、報酬額分上積みされた管理費を報酬として均等にもらうだけですから。
報酬支払いを考えてみても良いケースとは、高齢化による理事の辞退者が多い場合や、賃貸化による理事になれない住戸が多い場合など、区分所有者による不公平感がつのっているケースなどは、その不満を解消する手段として検討してみてもよいかもしれません。