大規模修繕工事の進め方

大規模修繕工事は長期修繕計画に則り、必要な時期が迫ってきたら、具体的な準備に入ります。建物の状況把握から工事対象項目の選定、工事費用の積立状況確認、委員会の設置、監理方式、施工業者の選定など修繕工事に取りかかる前に管理組合としてやらなければならないことが非常に多くあります。最低でも1年以上の準備期間を考えておきましょう。

大規模修繕工事は何千万円、何億円という非常に高額な費用が掛かります。適正な修繕ができれば、マンションは当然生き返り、再生を果たすことになりますが、的確な手法を怠ったために高額な工事代金に見合わない、残念な結果となるケースも多く見受けられます。また、まだ使用できるにも関わらず、計画に盛り込まれているからという理由だけで、設備をリプレイスするのは勿体ない話です。
実施するにあたり、大切な資金が無駄にならないためにも、周到な準備が重要となります。

管理組合の体制

大規模修繕は、検討段階から実施まで複数年度にまたがり、またやらなければならないことがとても多いため、理事会役員だけで対応するのは困難です。このため、『修繕委員会』を設置し、理事会を支援するのが一般的です。
委員会メンバーは、理事経験者や知識を持っている専門家を活用するほか、主婦や若い人にも呼びかけるなど、バランスも大切です。

また、内部だけですべての業務を処理することは、時間的にも知識的にも無理があります。このため、外部の専門家(パートナー)を活用するのが一般的です。代表的な方式として、『管理業者主導方式』、『責任施工方式』、『設計監理方式』があります。

建物の劣化診断(不具合調査)

長期修繕計画で、大規模修繕工事の項目はあがっていますが、実際に修繕が必要かどうか、またどの程度の問題なのか調査診断をする必要があります。診断によっては。修繕しなくてもよい項目や、予想以上に劣化が進み計画になくても修繕しないと問題が発生する項目があるかも知れません。
診断は、予備調査を経て詳細な診断計画書を作成し、本調査に進みます。本調査は、簡便な方法から開始し、判断がつかない場合、更に詳細な方法で調査を行います。調査後、『診断結果報告』が作成されます。

修繕基本計画

建物診断結果や区分所有者・居住者アンケート結果などをもとに具体的な修繕計画の検討に入ります。
修繕委員会が中心となって、修繕時期、項目、内容、資金計画などを含めた基本計画を作成します。但し、専門的な知識を必要とするため、外部専門家に原案を作成してもらい、十分に説明を受けた上で検討していきます。

修繕基本計画は、トラブルを防ぐためにも総会の決議をしておくとよいでしょう。共用部分の変更などがある場合は、必ず決議が必要です。

修繕工事の設計

施工業者選定の際、比較検討が可能となる見積りを提出してもらうため、修繕工事の『設計図』と『仕様書』を作成します。
外部専門家が作成することになりますが、これが今後の修繕工事のすべての指示書となるため、しっかりとしたチェックが必要です。

工事見積り(施工業者選定)

工事に参加したい業者に対し、修繕工事の設計書と仕様書を提示して、見積りを提出させます。施工業者は、総合建設業者、専門工事業者、管理会社工事部門など、業種もなるべく広範囲に取るとよいでしょう。
選定の際、仕様や数量が正しいか、項目抜けがないかなどを確認し、3社程度に絞って面接を実施します。

選定基準は、見積り金額だけでなく、工事監理体制やアフターサービス体制が充実しているかどうかもチェックすることが必要です。それ以外にも取り組み姿勢、現場代理人の資質、経営の健全性、大規模修繕工事の施工実績など総合的に判断しましょう。

資金計画

修繕工事費の見積り額が明確になった時点で、修繕積立金の残高との確認をします。
資金が不足する場合は、工事内容を見直すか不足分を調達するか検討します。

総会決議

修繕工事内容、発注金額、工期、施工業者、資金計画などについて、最終的に総会で承認を取ります。

修繕工事発注

施工業者と工事請負契約を取交し、正式な発注となります。工事代金の支払いは、着手金、中間金、完了時の3段階に分割するのが一般的です。