アスベスト(石綿)対策

2005年6月にクボタ神崎工場でのアスベスト被害による死者の公表があって以降、アスベストに対する社会的関心は日増しに大きくなりました。
アスベストは、耐火・吸音・保温性に優れ、しかも安価であったため、多くのマンションで使用されました。主に1988年以前の建物に使用されている例が多く見受けられます。

アスベストは天然の鉱物繊維です。繊維が極めて細く軽いので、空気中に浮遊しやすく、容易に吸引してしまいます。その結果、繊維が肺に突き刺さり、15〜40年の潜伏期間を経て肺ガン、悪性中皮腫(悪性の腫瘍)などの病気を引き起こすおそれがあります。

現在は、製造も使用も禁止されていますが、これまで使用された製品を除去しない限り、危険はそのまま残ります。アスベストは、症状が進行するまで病気に気がつかないという特徴を持つため、より速やかな対策が必要です。

アスベスト製品の種類

アスベスト製品は、大きく2種類あり、対策が大きく異なります。

1) 飛散性アスベスト製品 ・吹付けアスベスト、石綿混入型吹付けロックウール
・鉄骨の耐火被覆などに使用され、劣化するとアスベストの繊維が空気中に飛散するおそれがある
2) 非飛散性アスベスト製品 ・Pタイル・石綿スレートなど固形化されたもの
・バルコニーのパーテーションボードなどに使用され、加工処理され固められているため、飛散する心配はない

アスベストの使用例

マンションの共用部分では、以下のような箇所にアスベスト建材が使用されています。

1) 飛散性アスベスト製品 ・エレベーター機械室、電気室、ポンプ室、屋内駐車場、エントランスホール、鉄骨造マンションの柱・梁・床等の耐火被覆、配管類の保温材
2) 非飛散性アスベスト製品 ・屋内階段床のPタイル、バルコニーのパーテーションボード、屋上パラペットやエントランスホールの屋根用スレート

アスベストの使用調査

すべてのアスベスト製品を除去するには莫大な費用が掛かるのと、飛散しなければ必ず危険だというわけではないため、使用状況を調査・確認し、適切な対策をすることが肝心です。

1) 設計図書による調査 ・図面に記載されている建築材料の商品名から判定
2) 現場目視による調査 ・アスベスト製品を使用している部位が露出していないか確認
3) 分析調査による判定 ・目視で判定出来ない場合、建材を採取し、専門の分析機関で調査

アスベストの飛散防止工事

調査の結果、飛散性アスベストが施工されている箇所に対しては、早急な除去処理が必要になってきます。

1) 除去工法(リムーバブル工法) ・既存吹付けアスベスト層を下地から取り除く方法
・アスベスト含有建材が完全に除去されるので最も確実
2) 封じ込め工法 ・既存吹付けアスベスト層を残し、薬剤の含浸もしくは造膜材の散布等を施し、完全にアスベスト層に被覆、固着させる方法
・除去工法より安価だが、取り壊し時に除去工事が必要
3) 囲い込み工法(カバーリング工法) ・既存吹付けアスベスト層を残し、使用空間に露出しないように板状材料等で完全に覆う方法
・除去工法より安価だが、取り壊し時に除去工事が必要

支援制度

マンションなどの民間建築物で、アスベストの有無を調査する費用と、除去・封じ込め・囲い込みをする費用に対して、公的補助をする支援制度を国は設けました。しかしながら、申請先となる全国1850の都道府県・市区町村で、窓口を設けてるのはたったの199(10.8%)であることが2009年6月の調査(国交省)で判明しました。

これは、国、自治体、建物所有者の3者が3分の1ずつ負担する仕組みとなっているため、自治体は費用負担が重荷となり、申請受付を見送った結果です。対策の遅れにより、被害が拡大することのないよう、再度、国と自治体が責任を持って促進を考えるべきでしょう。