耐震改修工事

耐震診断の結果、耐震性能を満たしていないことが判明した場合、なんらかの耐震改修工事を実施しなければなりません。
しかしながら、耐震改修に係る費用が相当程度多額となる可能性があることや、耐震改修により居住性に影響のある住戸とない住戸が生じる可能性があることなどから、合意形成を得るのが難しくなっています。その結果、マンションでは、本格的な耐震改修はほとんど進んでいない状況です。
いつやってくるか分からない地震に対して、いつまでも放置しておくことはできません。耐震化の必要性について、管理組合は積極的に区分所有者の理解を得られるよう活動することが求められます。

耐震改修工事は、その目的に合わせてさまざまな工法があります。管理組合は、技術情報を共有しつつアンケート等による区分所有者の意向を考慮して、複数の改修案について比較・検討しましょう。
特に、専有部分への影響がある工法については、事前に個別ヒアリング等によって承諾が得られるかどうかの可能性について十分に調査する必要があります。

強度の向上

大地震に耐え得るだけの強度を有していない建物に対して、建物の壁・柱・梁といった部材を補強または新設し、建物の頑丈さ(強度)を向上させることを目的とします。

1) 枠付き鉄骨ブレース補強 既存建物の柱・梁フレーム内に枠付き鉄骨ブレースを挿入
2) RC壁増設 既存建物の柱・梁フレーム内に鉄筋コンクリート造壁(RC 造壁)を新設
3) 増打ち壁 既存壁に鉄筋コンクリート造壁(RC 造壁)を増打ち
4) 鋼板壁増設 既存建物の柱・梁フレーム内に鋼板壁を新設
5) そで壁補強 既存建物の柱に鉄筋コンクリート造のそで壁を新設
6) 外付けフレーム補強 既存建物の柱・梁フレームの外側に新たにフレームを設ける
7) バットレス補強 既存建物の外側にバットレスを設ける

靭性能の向上

建物の頑丈さ(強度)はあるが粘り強さ(靭性能)がないため、大地震時にもろく破壊されることが想定される建物に対して、建物の柱に鋼板を巻くなどにより、建物の靭性能を確保することを目的とします。

1) 鋼板巻き立て補強 既存建物の柱に鋼板を巻き立てて、耐震性能を向上させる
2) 炭素繊維巻き補強 既存建物の柱に炭素繊維シートを巻く
3) RC巻き立て補強 既存建物の柱の周囲に厚さ10〜15cm 程度の鉄筋コンクリートを増打ち

構造上のバランスの改善

一部の階だけ耐震壁が抜けている場合や、構造種別が中間階で変わる場合など、平面的・立面的なバランスが悪い建物に対して、壁などの新設等によって、構造上のバランスを改善することを目的とします。

1) 耐震スリットの新設 柱に取り付く腰壁やそで壁と柱の間にスリット(隙間)を設ける

地震力の低減

地震のエネルギーを吸収する装置を建物に設置し、地震時に建物が大きく揺れることを防ぐことを目的とします。

1) 制震機構の組込 既存建物の柱・梁フレームに制震ダンパー付きブレースを設置する
2) 免震構造化 既存建物に免震装置を設置する