マンションの寿命

マンションの寿命って何年?という問題は、中古マンションを購入する際はもちろんですが、マンション居住者が修繕計画や建替えを検討する際にも、非常に重要な事柄です。
しかしながら、残念なことに明確なものはありません。それは、コンクリートが朽ち果てたり、躯体が腐食したりといった物理的な耐用年数が、イコールマンションの寿命だとは言い切れないからです。建物は問題なくても、電気や給排水などの設備老朽化により、そのまま居住することが困難である場合も寿命といってよいでしょう。

国土交通省の発表によれば、アメリカの住宅寿命は55年、イギリスは77年なのに対して、日本はたったの30年とされていますが、これは理由のいかんを問わず、取り壊された時点の築年数を単純に平均した数値を示しています(一戸建て含む住宅全体)。このため、災害で損壊を受けて取り壊された例もあれば、まだまだ使える住宅を新たに建て替えるために解体した例もあるため、通常考える寿命とは、ちょっと違う数字といってよいでしょう。

結局、マンションの寿命は、物理的な要因でなくその他の要因で建替えをしているケースがほとんどで、また、建替えを実施したケースも非常に少なく、寿命が何年と言い切れるものはまだありません。
以下、寿命の目安となる考え方をまとめてみます。

法定耐用年数

日本では、マンション(鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造)の法定耐用年数(固定資産評価や税制上の減価償却年数)は47年となっています(1999年に改定)。ちなみにレンガ造・石造・ブロック造は38年、木造・合成樹脂のものは22年、木造モルタルは22年です。

法定耐用年数は、「原則として、通常の維持補修を加えながら通常の使用条件で使用した場合の効用持続年数を基礎として定める」と定義されています。 会計上の基準ですから、物理的な側面よりも「効用」、つまり経済的・機能的な資産価値に基づいています。

物理的な寿命

コンクリートが朽ち果てたり、躯体が腐食したりといった建物の物理的な耐用年数を指します。
物理的には60年は持つともいわれていますが、これは品質管理が厳格になった最近のマンションのことであって、高度成長期の頃に施工した築年数の古いマンションは別です。人手と材料が極端に不足していたため、コンクリートに海砂を混ぜ(鉄筋が腐食しやすくなる)たりと、品質に疑問の残るマンションも多いといわれています。

経済的な寿命

外壁や骨組みはしっかりしていても、電気や給排水、エレベータなどの設備が老朽化して、修繕や交換にコストがかかり過ぎるといった経済的な耐用年数を指します。
少々の故障なら修理を頼むことでさほど費用をかけずに元の状態に回復できますが、主要部品が故障するなどじた場合、リプレイスするなど多額の費用が掛かります。このような状態がいろいろな設備に発生すると、費用をかけて性能を保持していくのは、かえって高くつきます。つまり、経済的な『有効寿命』が尽きたのです。

機能的な寿命

流行や人々の価値基準は変わっていきます。生活スタイルなどの外部環境の変化に適合しなくなることで、寿命が尽きるという機能的な耐用年数を指します。
例えば、5階建てなのにエレベーターがないなど、現代の生活実態に合わないといったことがあげられます。