ライフサイクル設計

マンションは、鉄筋コンクリートで造られた堅牢な建物であるため、メンテナンスはそんなに必要ないと考えがちですが、決してそんなことはありません。雨風や直射日光に何年もさらされた外壁や、何年も使用した各種設備は、色々な部分が劣化していきます。
特にマンションはオフィスビル等と違い、24時間365日酷使される訳ですから、他の用途のものに比べてより傷みやすい建物といえます。

マンションは、機能回復のため修繕等の手を加えない限り、人間の身体のように自然に回復することはありません。手間が掛かるものです。
それを踏まえ、問題が発生してから対応するのでなく、建物等に起こるさまざまなこと(劣化等)を予測し対応をしておくこと(ライフサイクル設計)で、はじめて安全で安心な暮らし得られるのです。

保全行為

マンションの機能や性能をきちんと維持することを『保全行為』といい、『維持保全』と『改良保全』があります。
『維持保全』は、マンションの初期の機能や性能をきちんと維持することで、『改良保全』は、初期の機能や性能を上回って改良することをいいます。
通常、経年10年くらいまでは維持保全が主に行われ、それ以降改良保全が部分的に加わっていきます。経年20年以降では、改良保全のウエイトが大きくなるとされています。

また、雨漏りや故障など実際に問題が発生してはじめて修繕することを『事後保全』といい、点検や診断によって劣化損傷を予測して予防的な措置を施すことを『予防保全』といいます。
当然、不具合が生じて補修する事後保全の方が多大な時間と費用が掛かりますので、予防保全を行うことが大切です。

維持保全の費用区分

マンションを維持保全する費用の区分とその内訳は以下の通りです。

1) 管理費 →清掃:エントランスなどの共用部分の日常清掃や定期清掃
→保守点検:エレベータなどの共用施設の日常点検
→一般修繕:ドア・タイルなどの器具等の破損修理
2) 修繕積立金 →計画修繕:鉄部塗装・給排水設備などの一定期間経過の計画修繕
→特別修繕:災害による被害の復旧、耐震補強など
→変更:バリアフリー、エレベータ新設などの改良
※大規模修繕:上記に加え、屋上防水・外壁など一時期にまとめて実施

ライフサイクルコスト

マンションの耐用年数は、建築およびメンテナンス状況によりかなり個体差があるようですが、税法上では47年となっています。建物の建築から解体するまでに掛かるであろう生涯の総費用(管理や維持・改良保全)を『ライフサイクルコスト』といいます。
このライフサイクルコストの算出は、一様ではありません。極端な話、問題が発生するまで一切修繕をしない考え方もありますし、適時に診断をして予防していく考え方もあります。安全な住環境は大前提にしなければなりませんが、その中で最も経済的な案を決定するのが重要です。