駐車場の増設

マンションでは、全戸分の駐車スペースを確保していない場合がほとんどで、その結果、違法駐車が相変わらず居住者間のマナーをめぐるトラブルのトップとなっています(国交省『平成20年度マンション総合調査結果について』より)。

こうした問題を解決するためには、駐車場の増設が必要となります。増設の際、解決しなければならないこともたくさんありますが、駐車台数が増えることにより、駐車場収入増えるということと、「駐車場100%完備」が資産価値の向上にもつながるというメリットもあります。

駐車場不足の問題点

ガソリン高騰や地球環境への意識向上などで、自家用車を手放す傾向もあり、全戸分の駐車場を確保する必要はなくなっているようです。
しかしながら、概ね70%ぐらいの駐車スペースが確保できないと、敷地内の空地や通路、外周道路等への違反駐車が増え、以下のような問題が発生します。

1) 消防車、救急車等の緊急活動に支障をきたす
2) 道路の見通しが悪くなり、子供やお年寄りの交通事故が発生しやすい
3) 歩道や路肩の占拠により、歩行者の通行に支障をきたす
4) 緑石や人止柵等の共用・共有物を損壊する
5) 屋外環境を悪化させ、マンションの美観を損ねる

また、敷地内駐車の区分所有者と、敷地外駐車の人の間に不公平感を生み出し、全区分所有者の共有地の使い方をめぐってトラブルになるケースが多く見受けられます。

駐車場増設の際の検討事項

現状が駐車場不足だからといって、即増設としてしまうのは早計です。家族構成や年齢構成、居住者の意向によっては、将来的に減少することも考えられます。そうなりますと、費用を掛けて増設しておきながら、借り手が減ることで駐車場収入が減少となることも考えられます。
居住者のニーズ等を調査把握した上で、増設する駐車場の規模・台数、駐車用地の確保の方法、駐車場の増設方式等を総合的に検討しましょう。

1) 法令上の問題 敷地に余裕があるマンションは少ないため、駐車場増設は立体化を検討するのが通常です。導入する方式によっては、建築物に該当する場合があり、建ぺい率や容積率・日影規制などをクリアしなければなりません。
2) 駐車場増設の収支問題 立体駐車場は、多額の費用が掛かりますが、その負担は、共用設備である以上、全区分所有者が負担することになります。
初期費用(工事費)と維持費用(メンテナンス費)の支出と、増設分の収入のバランスを見ていく必要があります。収支が合わない場合は、駐車場の値上げも検討しなくてはなりません。また工事費用が足りない場合、リフォームローンなどの借り入れを検討することになりますが、自治体に助成制度がないか確認してみましょう。
3) 居住者の合意形成 駐車場増設が特定の居住者(専有部分)に影響を及ぼすことがないか、緑地縮小など居住環境のマイナスは許容範囲かなど、居住者の合意形成が重要です。
駐車場利用待機者は切望しているはずですが、既駐車場利用者や自動車非保有者は、直接的なメリットがありません。違法駐車解消や資産価値向上など、マンション居住者全体のメリットとして捉えて検討することが大切です。
共用部分の変更になりすので、区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成を要します。

駐車場の増設方式

1) 平面式駐車場 平面的に駐車する一般的な形式です。工事費やメンテナンス費が最も安価で、車庫入れもしやすいが、1台当りの敷地面積が大きく、土地利用が最も低利用となります。
2) 自走式立体駐車場 立体式の駐車場で自ら走路を運転して駐車する方式です。工事費やメンテナンス費は平面駐車場と機械式の中間です。耐久性は躯体(RC造又は鉄骨造)により変わります。
3) 機械式多段駐車装置 パレットに車を載せ、動力でこれを上下左右させて立体的に駐車させる方式です。工事費やメンテナンス費用が高くつき、機械の耐久性も20〜25年程度と短期です。また、出入庫に時間が掛かったり、パレットの大きさや重量制限で車高の高い大型車が入らない等のデメリットもありますが、1台当りの敷地面積が最も少なくて済み、敷地を最大限に活用できます。