長期修繕計画の作成

鉄筋コンクリートで造られた堅牢な建物であるマンションも、雨風や直射日光に何年ももさらされていれば、色々な部分が劣化していきます。例えば、屋上や外壁の劣化によりひび割れが生じた場合、専有部分へ雨漏れするだけでなく、躯体(建物本体)にも重大な影響が生じます。
建物の価値や機能を損なわないためには、日常的な維持管理はもちろん、長期的かつ計画的な修繕が必要なことは言うまでもありません。マンションでは、”どの部分”を”いつ頃”、”どのくらいの費用”でという『長期修繕計画』を作成し、その計画に沿って適切な修繕を行っていきます。

『長期修繕計画』は本来、新築竣工時に作成するのが理想ですが、築数年後であったり大規模修繕工事の実施に合わせて計画されることが多いようです。多額の費用が必要となるので、なるべく早期に定め、区分所有者間で合意し資金を確保しておくことが、円滑に進めるのためにとても重要です。

修繕積立金

長期修繕計画を実行するには、当然のことながら修繕資金の準備が不可欠です。管理組合は、『修繕積立金』を管理費と別会計で積み立てます。積み立てる算定根拠となるのが、長期修繕計画となります。
修繕積立金は、一定期間経過の計画修繕等に充てますが、修繕工事費だけでなく、調査診断、修繕設計、工事監理、長期修繕計画の見直しなどのコンサルタント費用も含むことになりますので、きちんと予算化しておきましょう。

参考として、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が設定している『優良中古マンョン基準』における平均修繕積立金が以下の通りです。

経過  1 〜  4 年目 6,000円/戸
経過  5 〜  9 年目 7,000円/戸
経過 10 〜 16 年目 9,000円/戸
経過 17 年目以降 10,000円/戸

標準管理規約における長期修繕計画

マンション標準管理規約では、長期修繕計画について以下のようにコメントしています。

1) 比較検討を容易にするため、長期修繕計画の『標準的な様式』を作成
2) 項目漏れを防ぐため、標準的な『推定修繕工事項目』を示す
3) 修繕積立金の将来的な引き上げ幅を少なくするため、『均等積立方式』を基本とする

※修繕積立金額の算出(徴収)の方式
・均等積立方式:修繕計画期間の総額を算出し均等で負担する
・段階増額方式:一定期間ごとに段階的に増額していく
・一時金徴収方式:不足分を明確にし一時金として徴収する

現状の問題と懸念

これまで分譲されたほとんどのマンションは、デベロッパーの販売を主眼に置いた低い修繕積立金になっているため、当初の金額では必ず不足が発生していました。このため、修繕計画を作成する段階になってはじめて不足に気づき、積立金を増額したり一時金でまかなうなど対応をしているのが現状です。
このように問題を先送りしてきたことを反省し、行政も平成16年の『標準管理規約』改定で修繕計画期間を25年に延長したり(新築時30年)、平成20年に『長期修繕計画標準様式』で修繕項目漏れを防ぐなど、改善に努めています。

それでもまだ先送りしている感は否めません。それは当たり前の話ですが、古くなればなるほどメンテナンスコストは増大するのです。
一般的には、大規模修繕工事が終了した時点で積立金が底をつくというぐらいしか徴収していません。次の大規模修繕工事の方が修繕箇所が増え、費用がより掛かるのが通常です。このため、修繕計画期間の延長(25年)は意義のある施策ですが、それでもその先にはもっと費用が掛かるのです(はず)。本来は、40〜50年後にある建替え時の解体費用までを見込むことができればベストなのではないでしょうか。

右肩上がり経済が望めない今、所得が増えることを前提には考えられません。そんな中、住民の高齢化とともにマンションも老朽化していき、維持するコストは増えていくのです。
問題を先送りしていて、安心してマンションで暮らすことはできません。残念ながら、自分たちの生活は自分たちで守るしかありません。