区分所有法とは?

一戸建てと違い共同生活をするマンションは、共有財産の保護と円滑に暮らために一定のルールが必要です。

そこで昭和37年に制定されたのが、マンション居住者の基本的な権利と義務、共同管理のルールを定めた『建物の区分所有等に関する法律』(略称「区分所有法」)という法律です。制定後もマンションのIT化や老朽化の進展に対応すべく、何回かの改正を経ています。

以下、要点をまとめると、

管理組合

マンションでは管理組合が自動的につくられ、区分所有者全員が自動的に組合メンバーとなります。
※但し、管理組合という言葉は、区分所有法にはあまりはっきりとは出てきません。『区分所有者の団体』と表現されています

管理組合は法人化することができ(管理組合法人)、メリットとしては、融資や財産管理などが容易になるなどがあります。法人化しない組合は、管理者(理事長)の個人名義になり、公私混同の危険性や理事長が替わるたびに名義人を変更する手間などが掛かります。
ただ設立登記や理事長を変更する度に登記するなど、何かとわずらわしい面がデメリットとしてあります。
法人となるための人数要件(区分所有者30人以上)も平成14年の改正で撤廃されましたので、どのマンションでも法人化することができます。

住民の共通ルールをつくったり、合意形成をするための集会(総会)を少なくても毎年1回、管理者(理事長)が召集することになっています。

管理規約

分譲マンションの維持管理を進める上で、最大のよりどころとなるのは管理規約です。その定め方は、区分所有法に沿っているものとなっています。
但し、区分所有法の条文に『規約で別段の定めをすることを妨げない』という前提が結構多くあります。つまり、あくまでも基本ルールであって、管理規約で独自に定めている場合はそちらが優先されるということとなります。

その管理規約の変更(設定・改正・廃止)は、総会で区分所有者数及び議決権数のそれぞれ4分の3以上の多数で決定されると定められています。

専有部分と共用部分

各住戸部分は自分の所有物で、エントランスやエレベータなどはマンション共用の所有物であるという概略は、皆さんも理解していることだと思いますが、区分所有法でも専有部分以外は共用部分であると定められているだけです。
総論はもちろん理解できますが、各論では???が付きますね。住戸内であっても壁や天井・床・窓・玄関などの境界線はどっちなのと思いませんか?
標準管理規約では、さすがに、この点についてかなり具体的な決め方になっていますが、住戸内を通っている給排水管など、はっきりしていません。
実はこれは非常に重要なことなのです。老朽化した際の修繕費負担やリフォームする時など、いろいろな問題があるのです。

共用部分は、専有部分の床面積割合で持分が決まり、共用と専有の権利は一体と考えられています。つまり、共用(専有)部分のみを個別に財産処分することはできない分離処分が禁止されています(当たり前のことですが)。

共用部分の管理

共用部分は区分所有者全員の財産なので、全員で管理し、維持管理に必要な費用も全員で負担することが決められています。1階に住んでいてエレベータを使用しないからといって、1階住人はエレベータのメンテナンス費用を負担しなくてよいということはないのです。

家族などの同居者や賃借している際の居住者も、共同の利益に反する行為をしない義務を負うこととなっています。

賃借人

分譲マンションの区分所有者が、何らかの理由で部屋を貸す場合、以下のことが定められています。
※ちなみに区分所有法では、賃貸人のことを『占有者』と呼んでいます

賃貸人であっても、以下の義務は区分所有者(家主)とまったく変わらず負わされるとしています。

1) 管理規約や集会決議に従わなければならない
2) 『建物の保存に有害な行為』や『建物の管理や使い方について区分所有者の共同の利益に反する行為』をしてはならない

こうしたル−ルを違反をした時は、賃貸人に対して『止めなさい』などの差止請求ができます。また、それでも止めない場合は、住戸の明け渡しを求めることができます(集会の特別多数決議)。

賃貸人は議決権はありませんが、利害関係のある議題をとりあげる総会には出席したり、意見を述べることもできます。

中古マンションの購入者

売買などで区分所有権を引き継いだものは、前の区分所有者の権利と義務を引き継ぐことが定められています。
※ちなみに区分所有法では、マンションを新たに購入した人のことを「特定継承人」と呼んでいます

中古マンションとして入居した新たな区分所有者が、『管理規約などとうるさいことを言われても、それは自分が住んでいなかった時に決められたルールだから関係がない』などと言えないようになっているのです。