フローリング化の注意点

マンションの生活騒音の中でも、もっとも不快で解消が難しいのが足音など、上階の床(天井)から発生する騒音です。特に近年、衛生面やインテリア面でフローリングを採用する割合が増えていることが、さらに事態を悪化させています。
フローリングへのリフォーム自体は、ハウスダストやダニなどが低減でき、アトピー等のアレルギー対策など衛生的にも禁止しづらい面もあります。但し、居住者が勝手にリフォームを行い、材質や施工方法等の問題で防音性能が著しく低下し、その結果、騒音問題を引き起こしてしまっては大問題です。
そこで、リフォームに関するさまざまなことを、使用細則としてきちんとルール化しておくことが大切です。

衝撃音の種類

1) 軽量衝撃音(LL=レベルライト) スプーンやコップを床に落とす音、スリッパでパタパタ歩く音などです。
主に床の仕上材の種類により音の大きさが変わるため、なるべく遮音等級の高い製品を使用すれば問題はありません。また、フローリングに吸音性のあるカーペットを敷いたり、フローリングの下に防振ゴムを入れたりして、防音効果を高めることもできます。
2) 重量衝撃音(LH=レベルヘビー) 子供が飛び跳ねる、走り回る、重いものを落とす音などです。
防音対策には、鉄筋コンクリートの床スラブを厚くするか、梁を増やすかする必要があり、表面的な対策はほとんど効果がありません。少しでも防ぐには、衝撃音を吸収する制振材を併用する、二重床にするなどありますが、必ず効果があるとは限らず、階下の居住者が軽減したと体感できないケースも多いようです。
床スラブの厚さによっては、フローリング化を禁止とした方が賢明かも知れません。現状を踏まえ、居住者間のコンセンサスを充分得た上で決めましょう。

床の遮音性能を示す単位

フローリングなどの遮音性能を示す単位としてL値があります(JIS規格)。これは振動音または実際に聞こえる音のレベルを示し、数値が低いほど遮音性能が高く、下の階に音が響きにくいとしています。床を伝わる2種類の音別に基準が定められています。

1) 【L-35】  LL=まず聞こえない  LH=静かな時、聞こえる
2) 【L-40】  LL=ほとんど聞こえない  LH=遠くから聞こえる感じ
3) 【L-45】  LL=サンダル音は聞こえる  LH=聞こえるが気にならない
4) 【L-50】  LL=ナイフを落とすと聞こえる  LH=ほとんど気にならない
5) 【L-55】  LL=スリッパでも聞こえる  LH=少し気になる
6) 【L-60】  LL=箸を落とすと聞こえる  LH=やや気になる

遮音性能基準

日本建築学会は、集合住宅での床衝撃音レベルに関して、以下のような基準を出しています。

【特級】  学会特別仕様  LL-40  LH-40・45 ・遮音性能上非常に優れている
・特別に遮音性能が要求される使用状態の場合に適用する
【1級】  学会推奨基準  LL-45  LH-45・50 ・遮音性能上好ましい
・通常の使用状態で使用者からの苦情がほとんど出ず遮音性能上の支障が生じない
【2級】  学会許容基準  LL-50・55  LH-50・55 ・遮音性能上ほぼ満足しうる
・遮音性能上の支障が生ずることもあるがほぼ満足しうる
【3級】  LL-60  LH-60 ・遮音性能上最低限度である
・使用者からの苦情が出る確率が高いが社会的、経済的制約などで許容される場合がある

使用細則

マンション標準管理規約では、床のフローリング化などを含む専有部分のリフォームについて「設計図、仕様書、工程表を添付した申請書を理事長に提出し、承認を受けなければならない」としています。
フローリング改修は、騒音トラブルに発展しかねない問題だけに、慎重に取り組むことが重要です。そこでリフォームの際には、以下の内容を事前に申請させ承認を得るよう、使用細則に追記することをおすすめします。

1) 施工詳細(手順・使用製品・図面・予定期間・作業時間・施工業者)
2) 軽量衝撃音遮音性能基準(学会推奨基準1級以上が望ましい)
3) 近隣の同意(上階・下階・斜め下階・隣戸)