管理費の滞納

100年に一度の大不況といわれる現在、賃下げや解雇などにより、住宅ローンの支払いが厳しくなっているという話をよく聞きますが、管理費や修繕積立金の支払いについても同様です。
管理費や修繕積立金は、マンションを維持・管理するのに絶対必要なお金です。区分所有法では、持分に応じてマンションの維持・管理に必要な費用を負担しなければならないと定められています。それが、滞納が増え財政が悪化すると、マンションの維持が危ぶまれてしまいます。

滞納は、防止するための策を講じることはできますが、根絶することはできません。滞納が発生した際、状況が悪化する前に早期に対応することが肝心です。現在、滞納が発生していないマンションも、今後も発生しないとは限りません。防止策と処理方法を取り決めておきましょう。

調査では、38.5%のマンションで滞納が発生しています。これは前回の調査(平成15年度)より11.8ポイントも上昇しています。
※国土交通省『平成20年度マンション総合調査結果について』より

滞納防止策

滞納の発生を少しでも抑えるには、管理費の使われ方(使途目的)やその重要性と、滞納が発生した時の対応方法を明確にすることで防止するしかありません。

1) 徴収方法の統一 複数の方法は便利である反面、滞納の一因でもあるため、シンプルで把握もしやすい銀行口座の自動振替に統一することが必要です。
2) 損害遅延金や違約金の設定 滞納が発生した際、損害遅延金や違約金などを請求できる旨、管理規約に定めておきましょう。損害遅延金の利率は、定めのない場合、民法の法定利率5%が適用されますが、防止のため高めに設定することも可能です。違約金は、滞納を回収する際の弁護士費用のことです。
3) 駐車場契約の解除時効の設定 お金以外のペナルティも防止には重要です。100%駐車場を確保できていないマンションでは、駐車場は大きな関心事です。そこで、滞納した場合に使用契約を解除できると管理規約に定めておくのです。
4) 裁判費用の負担条項の設定 もし裁判になった場合、弁護士や訴訟に費用が掛かります。これを滞納者に請求できるという旨、管理規約に定めておきましょう。必ずしも請求が認められるとは限りませんが、防止効果はあるでしょう。

滞納の処理方法

滞納の理由はいろいろですが、その理由に合わせて、丁寧に対応していくことが重要です。初期の対応は居住者(組合理事)でなく、第三者である管理業者のフロントマンが事務的に行うのがよいでしょう。

1) 電話督促 滞納している事実関係を確認し、その理由や入金予定を話し合います。
2) 通常文書督促 初期段階では注意喚起を促し、中期段階で遅延損害金額や管理組合で問題となっていることを伝え、後期段階で法的手段を考慮していることを伝える。
3) 訪問督促 複数の理事で自宅を訪問し、できるだけ入金約束(入金日)を文書で取交すようにします。
4) 内容証明郵便督促 それでも期日通りに支払いが行われないときは、内容証明郵便で督促を行います。法的な措置の際の証拠になりますし、相手方への意思表示としての効果も期待できます。

法的手段

支払いの督促に応じない場合は、訴訟とならざるを得ません。

1) 支払督促制度 これは書面審査のみで滞納者に支払いを命じてもらえる制度です。ただし、異議申し立てがあった場合、通常の訴訟となります。
2) 少額訴訟制度 これは請求金額が少額(60万円以下)で、複雑でない事件(立退きなどが絡まない)の場合、原則として1回の審理で即日判決が出されるという、管理費滞納に向いた制度です。
3) 通常の訴訟 滞納者が任意に弁済してくれない場合は、通常の訴訟となります。滞納区分所有者の財産を競売し、その代金から配当を受けることになります。もし、住宅ローンなどの抵当権が設定され、余剰の配当金がない場合は、競落人(買受人)に対して請求することになります。

滞納管理費の時効

マンション管理費や修繕積立金の滞納には、時効があります。
民法では、一般の『債権』は10年で消滅しますが、『定期給付債権』は5年で消滅するとなっています。これまでは、マンションの管理費や修繕積立金が、どちらにあたるのか明確に定義されていませんでしたが、2004年の判決で、賃貸料や地代と同じように、「1年以内の短期間に、定期的に一定額の支払いを求める定期給付債権である」という判断が示され、時効が5年と確定したのです。
これにより、滞納が発生した場合、今まで以上に早期に対応する必要が出てきたのです。